僕の生きる道

ep.1 告知、余命一年

时长: / 首播:2003-01-07
 私立進学校陽輪学園の2年G組。白衣姿で授業をしているのはこのクラスの担任で生物教師の中村秀雄(草なぎ剛)。きちんとした授業ぶりだが、熱血タイプの教師ではなく、あくまでも仕事と割り切って淡々とこなしている。生徒たちはといえば、生物は受験には関係ないので、隠す素振りもなく数学や英語の勉強をしている。秀雄の授業を真面目に聞いているのは杉田めぐみ(綾瀬はるか)ぐらい。クラスの空気を察した秀雄は自分に言い聞かせるように言った。「自習にします。模試も近いことですしね」。秀雄は教室を出るなり、同僚教師の秋本みどり(矢田亜希子)から声をかけられた。「田中クンが万引きしたそうです」。みどりは陽輪学園の理事長、秋本隆行(大杉 漣)の一人娘で2年G組の副担任。「生徒の指導、ちゃんと頼むよ」。秀雄が田中守(藤間宇宙)を連れて職員室に戻ると、やはり教頭の古田進助(浅野和之)から嫌味を言われた。理事長べったりのこの教頭、なにかにつけ秀雄につらくあたることでストレスを発散させている。周囲もそのことをよく知っているから、英語教師の太田麗子(森下愛子)も体育教師の赤井貞夫(菊池均也)も見て見ぬふりだ。
 「君は自分の将来を台無しにするつもりですか」「将来って何ですか」。秀雄が守を指導しきれないでいると、数学教師の久保勝(谷原章介)が「いい大学に入って、いい会社に入っていて損はないんだから」とくだけた口調でいとも簡単に守を説得した。担任の秀雄のプライドは丸つぶれ。もっとも久保は理事長からも生徒からも信頼厚いエリート教師。秀雄では勝負にならない。社会科担当の岡田力(鳥羽 潤)が昼食の弁当を配っていると秋本理事長が現れた。「先生方、受験シーズンに入りますが今年もよろしく」。足早に出ていこうとする理事長の後を教頭が平身低頭で追いかけていく。
 その日の帰り道、秀雄はみどりと相合傘になった。といってもたまたま帰りが一緒になって、秀雄しか傘を持っていなかったからだ。秀雄は内心ドキドキしていたが、みどりは昼間の弁当の不満で頭がいっぱい。「じゃあ、食べにいきません?」。秀雄が行きつけの焼き鳥屋に誘ってみると「おいしい!」とみどりは喜んでくれた。意を決した秀雄はビールを一気に飲み、思いきって映画に誘ってみた。しかしみどりの反応をうかがいながら「なんかデートみたいですかねぇ。やっぱりやめましょう」と、冗談めかして自分からあっさり諦らめた。
 秀雄は1人暮らしのアパートに帰った。「よかった、足りて」財布の中身を確認した後、コートのポケットから昼間に職員室で受け取った健康診断の封筒が出てきた。
 再検査の通知。「どうせ、なんともないのに」と封筒を置いてうがいをする秀雄。
 後日、面倒くさいが敬明会病院で再検査を受け、検査結果を聞くために再び病院を訪れた。主治医の金田勉三(小日向文世)から「中村さんは奥さん、いらっしゃいますか?」と切り出されて秀雄は面食らった。秀雄は28歳、独身だ。「検査結果について大切な話があります」。金田医師のただならぬ表情に秀雄は緊張した。
 診察室を出た後、秀雄はアパートまでどうやって帰ったか覚えていなかった。心、ここにあらずの秀雄だが、条件反射のようにいつも通りうがいをしようとしていると、新聞の集金人がやって来た。「できたら今度は長期の契約で。2年契約でお願いできますか?」「はい」。集金人が帰った後、秀雄は契約した控えの紙を見ながら呟いた。
 「あ・・・、一年にしといた方がよかったかな」。
 秀雄はさっき金田医師から宣告されたのだ。あなたの余命はあと1年だと・・・。

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