花束から一輪の幸福を 百合短編小説集 小说

　大学の同期と『死体のようなもの』を埋め、SS書きに執着する女たちの顛末、不老不死の少女、Twitterの詩的な呟きに恋をする女、高校生活を音楽に捧げる決意をする女子高生――そんな鬱屈としながらもどこか眩しくほろ苦いビターエンドの小説を集めた短編集です。

【収録作品】
「死体を埋めるのに興味ない？」
　ある休日の深夜一時、大学の同期から「死体のようなものを捨てにいかないか？」と誘われる。
　不気味な麻袋を山に捨てに行くまでのドライブを描いた小説

「私の嫌いなSS書きの話」
　私には嫌いなSS書きがいた。それは作品の完成度ではなく、自らのコミュニケーション能力で地位を高めようとするピーチという女だった。だが彼女との現実との出会いが『私』の想いを思わぬ方向へと転がしていく。

「死ねないお前のそばで死ね」
　不老不死の少女と不良の少女が織りなす『約束』のお話。
　死なないお前のために、私にできることはなんなのだろう。

「棺桶に溢れんばかりのシロツメクサを」
　生きづらさを抱える引き籠もりと、生きづらさを巧みに文章化するTwitterアカウントの恋のお話。
　互いの生きづらさの果てに、彼女たちは唯一無二の繋がりを見出す。

「デッド・ウーマンズ・ロック」
　青春を音楽に捧げた女子高生と、その音楽に感銘を受けた少女の話。
　まともに生きられない死人が、唯一存在することを許された場所が音楽だった。

（百合姫様とpixiv様が主催していた第2回百合文芸小説コンテストの応募作品を再録したものになります。）