オジサマと貴女～傷だらけのオジサマ～

「君が霧華の、妹か」

貴方には、家族がいた。
中学生の頃に失くした両親の代わりに自分を育ててくれた姉だった。
貴方の学費を稼いで仕送りをしてくれていた姉が、音信不通になった。
社会人になったばかりの貴方は、姉を探すために上京する。

半年、貴方は姉を探し続けた。
そして、行きついたのは「5年と少し前に姉が一緒に働いていた男」がいる、
青柳探偵事務所。

出会った青柳は貴方を姉だと見間違え、姉の名前を呼んだ。


貴方は青柳に望む。姉を探してほしいと。
青柳は仕事としての金額を提示するが、
その金額は社会人になったばかりの貴方には途方もない額だった。

「――分かった。報酬は体だ。一晩、抱かせてもらえりゃいい。もちろん、成功報酬で構わない」

青柳はそう、貴方に冗談めかした声で告げる。
それはおそらく、彼なりの冗談なのだろう。
貴方から姉の資料を受け取った時の彼は、ただ静かで透明な目をしていた。


2週間後。
そんな貴方と青柳を待っていたのは、酷く悲しい現実。
2人の間に悲しみが横たわる中、青柳は静かに貴方を、腕の中に招き入れた。


★催眠の技法を取り入れておりますが、すべての方が催眠状態に入れるわけではありません。何卒ご了承いただけますよう、よろしくお願いいたします。


【キャラクター】
青柳　悟(あおやぎ　さとる)
42歳の探偵。青柳探偵事務所を開いている。
この街を5年間離れていたらしい。

性格は質実剛健。生き方は、ハードボイルド。
元来の固さを隠す様に飄々とする場面もあるが、
根は真面目で情に脆い。


【名前のみキャラクター】
霧華(きりか)
貴方より5歳上だった実の姉。
中学生の時に両親を失った貴方の進学を支えた。
男勝りでさばさばしていたが、半年前より音信不通。

以前、彼女が青柳の元で働いていたことを知ったため、
貴方は青柳に姉を探してもらうため、彼の探偵事務所を訪れる。