【鎌鼬娘】イチ

鎌鼬(カマイタチ)とは、日本の中部～近畿地方の伝承に語られる風の妖怪である。
夜道を歩く人間目掛けて突風と共に現れ、風の刃(もしくは鋭い爪)で切り傷を負わせて去っていく存在と言い伝えられている。
名の由来は「構え太刀(かまえたち)」が訛ってかまいたち、そのまま鎌鼬となった説が有力とされる。
「鼬」とある通り、大きなイタチの姿をした姿で描かれることも多いが、これは「画図百鬼夜行」にて長い爪を持つイタチの姿であった事が由来らしい。
それ以外では形のない風そのものの妖であったり、鬼が起こす風の術であるという伝承も存在する。

これらは「身に覚えのない切り傷を負う」という現象を妖怪化したものとされる。
自分の身にも覚えが無いだろうか？ふと、腕や足がかゆいと思って確認したら、治りかけの傷が一筋ついている……といった経験が。
何故何かにぶつかったわけでも擦った記憶もないのにこんなきれいな傷が？という現象には様々な要因が考えられるが、基本的には不明となるだろう。
特に、服に覆われていたはずの場所にそのような傷が出来た場合など、もはや十分な怪現象である。合理的な説明がつかないのだから。

転んだ際の切り傷やあかぎれを妖怪の仕業としたのがルーツだ、等という説、ただ忘れているだけ、という身もふたもない事を言う人もいるが、
実際にそのような現象がある以上、その存在を無視するような言説はあまりよろしくはない。
ただ、一瞬プチ真空状態になって肌が裂かれる、という説は科学的に否定されてはいる。

伝承によっては鎌鼬は三兄弟で活動するという説があり、「風を起こし人を転ばせる担当」、「転んだ人間を風の刃でほんの少しだけ斬る担当」、
「その傷を薬や術で瞬時に治す担当」に分かれており、三位一体のコンビネーションで人を驚かせる。
鎌鼬三兄弟(あるいは兄妹、姉弟、姉妹)説を取り入れた創作も多く、例えばDMMとFANZAの先輩とも言える『千年戦争アイギス』では、
現在実装されているかまいたちモチーフのキャラの「金糸雀姉妹」「紫苑姉妹」「群青姉妹」全てが三人一組のトリオで構成されている。
また、『週刊少年サンデー』にて連載されていた漫画作品『うしおととら』、およびその作品からキャラクター原案つながりで何体か妖怪がゲスト出演していた
『妖逆門』でも、三兄妹のかまいたちの「雷信」「十郎」「かがり」として登場していた。
他ではKONAMI社による日本産TCG『遊戯王OCG』にて、日本妖怪モチーフのデッキテーマ「妖仙獣」に「妖仙獣 鎌壱太刀」「妖仙獣 鎌弐太刀」「妖仙獣 鎌参太刀」
というモンスターが存在し、全員侍風の姿をしたイタチの獣人というデザインになっている。
かつて存在したスクウェア・エニックス社のデジタルTCG『ロード・オブ・ヴァーミリオン』シリーズでも、初代から皆勤の古参使い魔として「かまいたち」が存在しており、
「狩魔威」「魔威太」「威太刀」の三兄弟とされていた。

イチはツインテールと尻尾の先で、合わせて3本の鎌を表現しているほか、キャラストでは3人に分身してみせたりもする。
EXスキルの味方を回復する能力も、この「瞬時に治す担当」がモチーフであろう。惜しむらくはスタンなどで「転ばせる担当」を再現して欲しかった。

名前の由来は、シンプルにイタチからだと思われる。