あなたは落ち込んでいた。
最近、彼氏の仕事が忙しく、一緒の時間を過ごせていないからだ。一時的なことだろうと思って仕事に打ち込んでいたが、
そうやって自分を誤魔化すのも限界だった。
誰かに相談しようにも、社内でこの関係を知っているのは上司の東雲だけ。あんなに素敵な人に、このように子供じみたことを相談するのは憚られた。親身になって聞いてくれそうだから、余計に。
もやもやと揺れ動く数か月を過ごしていたある日、部署をまたいでのパーティーがホテルで行われた。
東雲も来栖も、もちろんあなたも関わっているプロジェクトの、成功記念パーティーだ。当日、東雲と共に役員方への挨拶を終えた後、来栖を加えた三人で話す流れになった。元·上司と部下の関係の二人は、小気味の良いテンポで会話を続けていく。
ほどほどに交ざりながらも、あなたはやや上の空だった。来栖との昨晩の出来事が尾を引いていたからだ。
とある用事で来栖がその場を離れた時、東雲に控えめに指摘された。「何かあったのか」と。
普段であれば、適当に誤魔化すところだった。
それなのに、その日に限って、なぜか本心を閉じ込めておいた扉の掛け金が緩んだのだ。「話を聞いてほしい」と伝えたあなたは、
誘われるままに東雲がおさえていたホテルの一室へと足を踏み入れる。ここまでは酒の力。けれど、その先はー一
◆あなた
そこそこ仕事ができる会社員。
東雲が直属の上司になってからは、より一層仕事に力を入れるようになった。
来栖とは就活の時に出会い、彼からの告白で交際がスタート。
気まずいので、東雲以外の会社の人には関係を秘密にしている。
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最近、彼氏の仕事が忙しく、一緒の時間を過ごせていないからだ。一時的なことだろうと思って仕事に打ち込んでいたが、
そうやって自分を誤魔化すのも限界だった。
誰かに相談しようにも、社内でこの関係を知っているのは上司の東雲だけ。あんなに素敵な人に、このように子供じみたことを相談するのは憚られた。親身になって聞いてくれそうだから、余計に。
もやもやと揺れ動く数か月を過ごしていたある日、部署をまたいでのパーティーがホテルで行われた。
東雲も来栖も、もちろんあなたも関わっているプロジェクトの、成功記念パーティーだ。当日、東雲と共に役員方への挨拶を終えた後、来栖を加えた三人で話す流れになった。元·上司と部下の関係の二人は、小気味の良いテンポで会話を続けていく。
ほどほどに交ざりながらも、あなたはやや上の空だった。来栖との昨晩の出来事が尾を引いていたからだ。
とある用事で来栖がその場を離れた時、東雲に控えめに指摘された。「何かあったのか」と。
普段であれば、適当に誤魔化すところだった。
それなのに、その日に限って、なぜか本心を閉じ込めておいた扉の掛け金が緩んだのだ。「話を聞いてほしい」と伝えたあなたは、
誘われるままに東雲がおさえていたホテルの一室へと足を踏み入れる。ここまでは酒の力。けれど、その先はー一
◆あなた
そこそこ仕事ができる会社員。
東雲が直属の上司になってからは、より一層仕事に力を入れるようになった。
来栖とは就活の時に出会い、彼からの告白で交際がスタート。
気まずいので、東雲以外の会社の人には関係を秘密にしている。