辰巳響子は、市民病院で小児科医として働いている。ある日、肋骨を骨折した小林剛が急患で運ばれてきた。父親・俊二に叩かれ、テーブルの角に胸を打ちつけたことが原因だった。日ごろから剛に厳しく接している俊二は、剛が嘘をついたからしつけのつもりで叩いたと話した。
入院した剛は、同学年の矢沢直と同室になる。直は喘息で入退院を繰り返している少年で、父親からもらったオルゴールをいつも大事に持っていた。心も傷ついていた剛は、直に対しても心を開けない。響子が優しく問いかけると剛は、嘘をついた理由を話し始めた。「お父さんが怒るから。お父さん、僕が嫌いなんだ」と剛は泣き出した。響子はその言葉に衝撃を受ける。
そんなとき、響子の夫・優作が手作りのお菓子を差し入れに病院に現れた。優作は失業中で、職を探しながら家事を引き受けていた。優作の帰宅後、ヘルパーたちが優作のことを、ヒモみたいと言っているのを耳にした響子は、「もう病院に来ないで。私が恥を掻くの」と優作に言うのだった。
入院生活に慣れてきた剛は、少しずつ直と話をするようになってきた。だが、「直のお父さんは、直が大好きだよ。剛君のお父さんは、剛君が嫌いなの?」という直の言葉に傷ついてしまう。思い余った直は、夜中に、直が大事にしているオルゴールを窓から投げ捨ててしまう。
翌朝、直はオルゴールがないことに気付くと剛を責めた。嘘をつく剛。そして、直はそのまま発作を起こして処置室へ運ばれてしまう。直の母親・晶子から、オルゴールはなくなった父親からの最後のプレゼントであることを聞いた剛は、激しい雨の中、オルゴールを探すのだった。
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入院した剛は、同学年の矢沢直と同室になる。直は喘息で入退院を繰り返している少年で、父親からもらったオルゴールをいつも大事に持っていた。心も傷ついていた剛は、直に対しても心を開けない。響子が優しく問いかけると剛は、嘘をついた理由を話し始めた。「お父さんが怒るから。お父さん、僕が嫌いなんだ」と剛は泣き出した。響子はその言葉に衝撃を受ける。
そんなとき、響子の夫・優作が手作りのお菓子を差し入れに病院に現れた。優作は失業中で、職を探しながら家事を引き受けていた。優作の帰宅後、ヘルパーたちが優作のことを、ヒモみたいと言っているのを耳にした響子は、「もう病院に来ないで。私が恥を掻くの」と優作に言うのだった。
入院生活に慣れてきた剛は、少しずつ直と話をするようになってきた。だが、「直のお父さんは、直が大好きだよ。剛君のお父さんは、剛君が嫌いなの?」という直の言葉に傷ついてしまう。思い余った直は、夜中に、直が大事にしているオルゴールを窓から投げ捨ててしまう。
翌朝、直はオルゴールがないことに気付くと剛を責めた。嘘をつく剛。そして、直はそのまま発作を起こして処置室へ運ばれてしまう。直の母親・晶子から、オルゴールはなくなった父親からの最後のプレゼントであることを聞いた剛は、激しい雨の中、オルゴールを探すのだった。