2022-6-23 23:02 /
原文http://yellow.ribbon.to/~savess/20060630/pri1.html

その日、彼女は暇でした。
どれくらい暇かといえば、コタツの周りをぐるぐる回ったりするほど暇なのでした。
彼女の名前はリーゼル。こっちの世界では理子。
その正体はみんなから「りっちゃん」の愛称で親しまれている『鋼の姫』なのでした。

それでは皆様、ただ今よりプリンセス・ワルツ番外編



      リ・エールタ
       開幕!!!


  「りっちゃんの憂鬱 お留守番編」


その日、彼女はどうしようもなく暇でした。
ぶっちゃけて言って何もやることが無いのです。
この家唯一の男は友達の所属する草野球チームの応援に出かけています。
他の姫達も各々の用事で家にはいません。
つまり今、この家にはりっちゃんしかいないのです。
出かけようにも気が乗りません。
家事はもう全部やってあります。
飛行型携帯電話の充電(1個につき約20円かかる)も100個全部終わりました。
何もやることが無いのです。

「・・・・・あらた・・・・・・・・・くん。」

座布団に顔を埋めながら愛する男の名を呟くりっちゃん。
いくらウブで純情とはいえども、やはりそこは年頃の女の子。
暇になると好きな男のことを考えてしまうものです。

「・・・あら・・・・・た・・・くん・・・・・・。」

もう1度呟いてみると不思議と彼が自分のすぐ傍にいるような気がしてきます。
そうだ、いつだって彼は当たり前のように前を向いて笑い続けてきました。
率先して危険な場所に飛び込んでいきました。
その姿にどれだけ勇気付けられたことでしょう。
そんなピカピカ光ってる彼だからこそ彼女は彼を好きになったのです。


「あらた・・・・・く・・・ん。」

さらに呟いています。
どうやらもう駄目のようです。
思考が止まらない。
色んな所に遊びに行ったり、何気ない日常を共有したり。
妄想が次から次へと溢れ出てくる。
左を向けば新くん。
右を向けば新くん。
正面にも新くん。
後ろにも新くん。
四方八方が新くんで埋め尽くされていきます。
まさにここは新くんだけで構成された約束された理想郷(アヴァロン)。
『新のいつも座っている』座布団に顔を埋めながら、彼女の手はゆっくりと下腹部に伸びて行く・・・



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」

どうやら思いのあまり2回ほどヤッてしまったみたいです。
詳しい描写は作者の技量不足ゆえに勘弁してください。


そしてヤッてから大体10分。
どうやら少しずつ冷静になってきたみたいです。
まずは赤面。
そして後悔。
さらに自己嫌悪。
そんな自分をも優しく慰める彼を妄想してまた赤面。
顔どころか耳も首も真っ赤。
その姿は茹でられた蛸か海老かといった具合です。
自分でもまるで蛸のようになってるだろーなーとか思ってたら突如こんな言葉が頭に思い浮かんできました。


『彼のオカズは誰?』



無論彼とは彼女にとっての王子様である彼のことです。
考えるまでも無くお姫様たちは皆とんでもなく美人揃い。
りっちゃんは自分なんか全然パッとしない女だと思っています。
でも・・・もし万が一・・・自分を思って彼が・・・・・(///)


りっちゃん妄想中につきしばらくお待ちください


何かもう行動を起こす前に疲れ果ててるりっちゃんですが、ようやく彼の部屋の前につきました。
しかしここまで来て最後の1歩が踏み出せません。
もしも、そうもしもの話だけど
本の内容が『男装した美少女』とか『義理の姉』とかだったらどうしよう。
そんなことになったら自分は1週間は立ち直れない自身がある。
だけど知りたい、見てみたい。
不安と好奇心が鬩ぎあっておるようです。

(やっぱりこんなの良くないよね・・・)←理性
(いや、情報収集が勝利への第1歩だ。)←本能
(でも勝手に見たりしたら・・・)
(ばれなければ同じことだ)
(うう・・・)
(それとも、他の姫に盗られても良いのか?)
(!!)
(目の前で彼が他の姫と仲良くしてるのを見たいのか?)
(いや・・・見たくない・・・)
(ならば最大限の結果を出すために最大限の努力を行うのは当然のことだ)
(当然・・・)
(そうだ。・・・決して興味本位ではないぞ?)
(う、うん。そうだよね・・・)
(そうだ。これは、ほら、あれだ。単なる情報収集だ)
(うん・・・情報収集だから・・・良いんだよね?)
(まあ、良いだろう。たぶん)

理性と本能は対決どころか一致団結してしまいました。
もう彼女を止めることはできません。
恋する乙女に理屈は通用しないのです。

さて、部屋の中に入ったりっちゃんは何よりもまずこう思いました。



( ベ ッ ド が 無 い )


そうです、彼はいつも布団で寝てるのでベッドは無いのです。
一緒に働いていた職人の妻達から教わった隠し場所候補はベッドの下だけ。
他の隠し場所は知りません。
いや、そんなことはない。きっと忘れているだけだと思い直し、もう1度思い出してみました。



「エッチな本はベッドの下に隠してあるわよ。男ってそういうの好きだからね~」
「普段は眼鏡をかけておいたほうがいいわよ。男ってそういうの好きだからね~」
「武器は大きいハンマーかドリルがいいわよ。男ってそういうの好きだからね~」



どうでも良いような知識ばっかりですね。
1回だけ深くため息をついた後、気をとりなおし部屋を見回してみます。
まず目に付くのはトロフィーの数々。
つまり彼の努力の証とも言える栄光の象徴。
彼は何だかんだで下級のガードナーなら1対1で勝てるぐらい強いのです。
きっと元々才能があったのでしょうが、本人の努力によるところがとても大きいのです。
りっちゃんは知ってます。彼がこっそりクリス王子に頼んで戦闘訓練を受けていることを。
彼は前に歩み続けている。王子としての宿命を受け入れクリス王子と2人で支えあっている。
戦闘も、政治も、自分には向いてないとか逃げないでちゃんと真正面から向き合っている。
しかるに過去の自分はどうだったのか。
友達を傷つけても勝利のみを求めていたあのころの自分は。


「やっぱりすごいや・・・新くん・・・」


彼に関することならどんな些細なことでも、ますます彼を好きになってしまう。
そんな自分に呆れるどころか嬉しく思ってしまう。
もはや自分は彼から離れることはできないだろう。
彼がいなくなると思っただけで世界のすべてが壊れてしまったかのような錯覚に陥る。
きっと自分は彼の足に縋りつき泣きながら慈悲を乞うのだろう。
そんな風に思えてしまうぐらい、絶対にそんなことはしない彼が好きになってしまっているようです。


「新くん・・・。」


誰にも聞かれないように名を呟くと彼の布団に倒れこみました。
(私は何をしようとしていたんだろう?
 彼のオカズ?
 そんなの知ってどうするんの?
 いや、まあ、参考にはしようと思ってたけど、でも、やっぱり、そういうのは、ねえ?
 そうだ。それよりもこの布団を干しておいてあげよう。
 きっと彼は喜ぶだろう。
 こんなことからで良いんだ。
 焦らなくても良いんだ。
 少しずつ少しずつ私も歩んでいこう。
 彼に追いついて隣で歩めるように・・・)


「じゃあ、干しちゃおうっと。」

そう言って布団を持ち上げようと思ったその時です。
彼女の体から力が抜けました。
いや、違います。力が入らないのです。

「え・・・?どうして・・・?」

(大丈夫だ。七皇はもういない。
 とりあえず落ち着くんだ。はい、深呼吸。
 吸って~~~~~っっっっっ!!!!!)

「あ・・・う・・・ぁぁ・・・・・。」

深呼吸はするべきではありませんでした。
彼女は思いっきり吸い込んでしまったのです。
汗とかアレとか色々混じった愛する彼の体臭を。
頭がボンヤリする。体に力が入らない。いや、入ってることは入ってるようです。でも、その手は下腹部に伸びて・・・。
いけない、まずい、やばい、ピンチが危険で危くてデンジャラスです。

(駄目・・・こんなの・・・)←理性
(良いじゃないか。きっと気持ち良いぞ)←本能
(うん・・・良いよね)
(良いさ)

たった4行で理性は白旗を上げてしまいました。
なんせ彼の体臭はまさに『プリンス・スメル』とでも言うぐらいのすんごいものだったからです。
そんなのをメロメロな女の子に吸わせたらもうたまりません。
うつぶせになり大きく息を吸い込んで、そして・・・・・


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」


4回もヤッてしまったみたいです。
さすがのプリンセスも体力が尽きてしまったようですね。
しかしまだ足りないのか手は小刻みに動き続けています。
そういえば、このごろは毎日こうして彼を思って慰めている。
週に1日ぐらいはしない日を決めておこうかな、と思いながら体を仰向けに返しました。
なんせずっとうつぶせなので、腕は痺れるしさすがに息苦しいしで結構大変だったからです。
でも、今は少々タイミングが悪かったですね。


「ただいまー・・・・・え?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」


部屋の主がちょうど戻ってきたのです。
さて、彼女は今どんな体勢をとっているのでしょう?
まず、仰向けです。
そして、足を広げています。
ちなみに、足はドアの方に向いています。
さらに、自らのアレを指で広げています。
結論と致しましては、『丸見え』なのです。


「あ・・・・・・ぁぁ・・・・。」

彼女は思いました。
これは罰なのだと。
オカズを知りたいなどと思うからこんなことになったのだと。
きっと嫌われた。
絶対嫌われた。
彼女の世界が壊れていきます・・・。

「いや・・・見ないで・・・・・いやぁ・・・。」

思考が停止。
体も動かない。
隠さなくちゃ、逃げなくちゃと思っても、何もできない。
彼女はまさに無力。
闘う意思すら持てない哀れな子ウサギ

「理子・・・。」
「っっ!!」

ゆっくりと近づいてくる彼。
何も喋らない。
何も語らない。
その姿はまるで獲物を捕らえたオオカミにも似ていました。
ただ何だか普段と様子が違うような・・・?

「理子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「あ~~~~~~れ~~~~~~~~」


突如りっちゃんに覆いかぶさる新くん。
しかもいつの間にかパンツ1枚のみ。
どうやら彼はかの有名なル○ンダイブもマスターしていたみたいです。


「え?あ?新くん?だ、駄目!こここここ、こんな、あの、あれ?えっと?」
「ごめん、理子。俺もう我慢できない。」
「え?あの、だから、これはあの、違うから。」
「実は俺、最近ずっと理子のことが気になってて、一人でする時も理子のことばっかりで・・・。」


良かったね、りっちゃん。
彼の最近のオカズはずっとりっちゃんだったらしいよ。


「嗚呼!もう駄目だ!理子ぉぉぉぉおおおおおお!!!」
「あ、駄目!ああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・。」


必死に抵抗(のフリ)をしますが今日1日だけで6回も自分を慰めたりっちゃんに体力は残ってませんでした。
可愛い野ウサギはオオカミさんに食べられてしまったのです。
ちなみに半分は喜んで食べられたところもあるようです



こうして妊娠したりっちゃんは、再び神の血を取り戻した聖女と呼ばれたりもしたが、
そんなことは気にせず、愛する夫と子のため今日も機械弄りをするのでした。



後日談

「これは何だ?」
「これ・・・揺り篭だよ。」
「揺り篭か~・・・・・揺り篭か?」
「怪しい人が襲ってきた時のために自己防衛システム搭載。
 いざという時のためにブースターも標準装備。
 トラックにぶつかっても大丈夫な衝撃吸収クッション。
 さらにクラシックなんかを状況を判断して自動的に流してくれるシステムも搭載してあるの。」
「あ、ああ。そっか・・・。まあ、頑張れ。」
「うん!新くんとお腹の子供のためにも頑張るよ。」
「・・・そうだな。でも、無理はしないでくれよ?」

ゆっくりと2つの影が重なりました。
例えきっかけがアレだとしても、2人は今、幸せなのです。

   めでたし めでたし


そのころ・・・
ここは闇と光が交差する場所。
ここにいるは始まりの王。
ここにいるは英雄だった魔王。
形はあっても姿は無い。
言葉はあっても声は無い。
ただただそこにいる2人だけの場所。

「やっとくっついたみたいですね。」
「ああ、そうだな・・・。」
「やけに淡白な反応ですね?」
「いや、まあ一体何のためにこんなことをしたのかと思ってな。
 念話や思考操作までやって・・・。」
「そんなの決まってます。あの子を見てると過去の自分を思い出すのですよ。」
「過去の?」
「はい。内気でシャイで素直になれない過去の私です。」
(そうだな・・・過去はそんな感じだったかな・・・)
「今もそうですけどね。」
「・・・あっそう。」
「その反応は何です?」
「いや?別に?」
「そんな反応をするなら今晩は『無し』にしますよ?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・まあ、どうしてもと言うなら3回ぐらいなら。まあ。」
「やれやれ。そんなに嫌なら素直に言え。」
「だって1000年も待ってたんですから。あなたとこうすることを・・・。」
「まったく・・・。物好きな女だ・・・。」
「そんなこと言わないでください・・・。」


(本当に変わったよな・・・。まあ、こっちのほうが良いか・・・。
 深森新よ。覚悟しておけよ・・・。
 他の姫達がそろそろ攻制に出るころだ。
 たった一人の王子を求め行われるワルツ。プリンセス・ワルツ。
 お前もきっと魔王になった俺の気持ちが分かるさ。
 そして新しい魔王が生まれる・・・。
 その時は、一緒にワインでも傾けよう・・・。
 愚痴なら聞いてやるさ。
 過去の俺よ・・・。スマン。イーリスの思惑に気づけなかった俺を許せ。
 たぶん、俺が倒した魔王もこうだったのだろうな・・・。
 まさにこれはワルツだ。それも決して終わらないワルツ・・・
 いや・・・あいつらならきっと難しいことも全部まとめて
 グダグダに解決するだろうな・・・。
 あいつらは正に『王子』と『姫』なのだからな。
 『勇者』と『従者』では魔王を倒せても世界を変えることはできなかった・・・。)
 だがお前らならきっと・・・。)


そして2年後、第2次プリンセス・ワルツが行われ、嘗て無いほどの激戦が行われたのはまた別の話です。
さらにその3年後、世界全てと異世界からたどり着いた壁の姫を巻き込んだ大戦の果てに統一王国『ディープ・フォレスト』を
建国したのもまた別の話・・・。


それでは、プリンセス・ワルツ番外編


     閉幕!!!


   終わり(ワルツはまだまだ終わらない)



>>211-224 これで終わりです。
お目汚し、本当にごめん・・・
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