II
否何れとさへそれはいふことの出来ぬもの!
手短かに、時に説明したくなるとはいふものの、
説明なぞ出来ぬものでこそあれ、我が生は生くるに値ひするものと信ずる
それよ現実! 汚れなき幸福! あらはるものはあらはるまゝによいといふこと!

人は皆、知ると知らぬに拘らず、そのことを希望してをり、
勝敗に心覚き程は知るによしないものであれ、
それは誰も知る、放心の快感に似て、誰もが望み
誰もがこの世にある限り、完全には望み得ないもの!

併し幸福といふものが、このやうに無私の境のものであり、
かの慧敏なる商人の、称して阿呆といふでもあらう底のものとすれば、
めしをくはねば生きてゆかれぬ現身の世は、
不公平なものであるよといはねばならぬ。

だが、それが此の世といふものなんで、
其処に我等は生きてをり、それは任意の不公平ではなく、
それに因て我等自身も構成されたる原理であれば、
然らば、この世に極端はないとて、一先づ休心するもよからう。

IIII
ゆふがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於て文句はないのだ。
  • Bangumi 2018-5-26 加入
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