特捜刑事・遠山怜子２～親不知～ 日剧

　警視庁特殊捜査班の遠山玲子は１１年前に夫が殉職し、中学生の娘と２人暮らしをしている。

　事件の発端は、都内にある会社『牧原産業』で起きた。会議中に出されたお茶に毒物が混入されていたのだ。茶を淹れたのは、社長秘書の加瀬菜保子。菜保子は、会議中に牧原社長と、その妹であり専務の牧原鷹子が、経営方針をめぐり激しく言い争っていたことを証言。一方、鷹子はこの事件が起きる前に「オフィスに無断で侵入しようとした不審な女がいた」と証言する。

　玲子は警備室に書かれた住所をもとに、小田切ミキのもとを訪ねる。ミキは「社長に渡したいものがあった」というだけで、何を、何のために牧原に渡したかったのかには、頑なに口を閉ざしたままだった。ミキは偶然にも菜保子の娘・由美の通う幼稚園の保母だった。

　翌日、牧原社長夫妻は静養のため別荘に向かう。運転手は大木、後部座席に牧原社長と妻が乗り、その後ろに秘書の菜保子が運転する車が続いた。だが、運転手の大木が途中で具合が悪くなり、大木は途中で菜保子の運転する車の後部座席へ移動。そして、牧原社長は自らハンドルを取るが、その車はまもなく路肩にぶつかって大破。牧原社長夫妻は死亡する。

　　牧原社長の胃の内容物からは、睡眠薬が検出された。牧原には日常からサプリメントを飲む習慣があり、それを知っている何者かが、ピルケースの中身のサプリメントと睡眠薬をすりかえたのだ。

　毒物混入事件とサプリメントすり替え事件。牧原社長殺害を狙った２つの事件が繋がる。

毒物混入事件で難を逃れたのは社長と対立していた妹の鷹子、そして茶を淹れたのは秘書の菜保子。そしてサプリメントを摩り替えることができたのは、菜保子か運転手の大木･･･。

　牧原社長の亡くなった際、専務の鷹子は遺体の確認もせず、「どっちが先に死んだの？」と事故の目撃者の菜保子に尋ねていた。これは子供がいない牧原夫妻の遺産相続の際に重要な問題となるからだった。もし社長の妻が先に亡くなった場合、遺産を相続するのは、妹の鷹子。しかし社長が妻より先に亡くなっていれば、一度遺産は妻のものとなり、その後妻が死ねば遺産は全て妻の側のものとなるからだ。しかし司法解剖の結果、牧原社長夫妻の死亡は法律的に『同時死亡』とされる可能性が高まる。悔しがる鷹子。

　そんな中、牧原社長夫妻の通夜が行われる。そこで怜子は涙を流すミキの姿を目にする。

なぜ、社長のために涙を流すのか･･･？

さらにその席上で、菜保子は「娘の由美は社長の子供だ」と驚くべき発言をする。「遺産目当ての言いがかりだ」と猛反撃する鷹子に、菜保子は「認めないなら、強制認知も辞さない、DNA鑑定をさせて」と強気な態度に出る。そして菜保子は「これが社長の親不知です」と一本の歯を持ち込む。

　それぞれの思惑が絡み合う事件。親が子を思い、子が親を慮る。その気持ちが核となり、怜子を真相に近づけていく。