2021-12-13 19:31 /
特徴
表サクセスのノリは「借金を返済するメドを通すために野球勝負を仕掛ける」というモノ。大帝国キラーズ戦まではこちらがリードしてるか同点から始まるためクリアはしやすい。
その後は「裏野球大会」としてドーピングしてパワーアップする老人チーム「光圀インローズ」、『3』の味方チームだった「火星オクトパス」、裏サクセスに登場する過去の強豪チーム出身のモブキャラが多い「ブラッドバタフライ一軍(難易度はパワフル)」 ネタキャラチームの「ブリティッシュピンキーズ」 そしてパワポケ屈指の強敵「USスーパースターズ」との熾烈な試合がある。優勝しなくても目的は果たしきっているが、表で強めの選手を作りたければ避けては通れない。
ブラッドバタフライ一軍とUSスーパーヒーローズは裏サクセスでも戦える。裏の方が運は絡むものの撃破しやすい。
なお裏サクセスは「借金返済の試合に敗北して借金のカタに島送りにされた」というBADENDのアフターとなっている。そして正史である。
今までの主人公は(サイボーグに無理やり改造された3主人公のようなのも居たが)基本的には普通の人間ではあったが、本作の主人公はタイムパトロールという背景的には異質な存在でもある事からストーリーの転換期であったと考える人は少なくない。
しかし戦闘能力の高さや借金を取り立てに来るやくざ達への反応、ヘルガや彼女候補に見せる大人な側面から魅力のある主人公として評価する声もある。
仲間キャラは『パワポケ4』から再登場した山田の他、車マニアの三船、変人の兄に振り回される野球経験者の弟の智林兄弟、出稼ぎ労働者のカビンダ、おまわりさんの守田、サイキッカー捕手のゆうまくん、沙耶を攻略する際についでに仲間になる貴田、マザコンの村山、中盤までは敵対してたものの裏野球大会前に助力してくれる奥野などどこか変な奴らだが、憎めない側面も持っていて印象深い。
裏サクセスでは「小杉優作」や「倉刈仁志」が落ちぶれて再登場。最初はマイナス得能を持っていてモブより使いにくいがパワーアップさせることで頼りになる人物として覚醒する。『4』のライバルキャラ「布具里(ふぐり)」も再登場し、背景描写の掘り下げや下ネタ度のパワーアップなど印象深いキャラとして飛躍を遂げてしまった。
コロコロコミックで読者公募のキャラを起用している。「漁火剛(いさりびつよし)」と「ほるひす」がそれである。
漁火はデザインは良いのだが地味。「発火能力者」であり展開次第ではテロリストになってしまう。彼と主人公の対話で「未来に超能力が認められていること」が発覚し、それが『10』でのカズや五十鈴を始めとした超能力者の台頭に繋がった事は賛否が分かれる。
ほるひすは当時、幼児の人物によって描かれたキャラだが原画そのままゲームに出ている。その不思議さは主人公に驚かれているが、和桐製作所を支える有能な人物であるらしい。「ほるひすだよ、ほーむらんもうつけどひっともうつよ」
『4』からの再登場キャラの印象が強く、表の相棒メガネは『4』から引き続いだ山田で、彼女候補として島岡希美が整形して再登場する。
またイベントでのちょい役だが、『4』での彼女キャラ・天本が登場。希美に結婚の報告に来た他、山田との驚愕の関係を匂わせる。なお本作のプロフィールで天本は「引退」したと明言された。
裏サクセスのミニゲームはギャンブルと、メカ亀田戦・ガンダーロボVS南海のとしおくん戦。
ギャンブルはサイコロを3つ振り、出た目に応じた景品を貰える。
メカ亀田ととしおくん戦は条件を満たすと最後に行えるイベント。クリアすればBB団を壊滅させることが出来る上に経験点をもらっていける。
メカ亀田は『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のボス・アグニムとの戦いをパク……オマージュしたゲームでメカ亀田の攻撃をくぐりながらバットで光球を跳ね返すゲーム。
ガンダーロボVS南海のとしおくん戦は、『がんばれゴエモンシリーズ』のゴエモンインパクト戦を彷彿させる。負けるとゲームオーバーなので無傷は難しいが、『12』ではとしおくんの死体を回収した遺伝子から作られたドラゴがパカーディをメロンパンにすべく襲い掛かってくる。正史である。
「俺のペナント」の期間短縮
まず「期間が1年」という点により、前作の3年間分のパワーアップは望めなくなった。
ただ、3年間もフルでやり続けるのはどうしてもダレてしまう感が否めず、妥当である意見が多い。
彼女候補
本作では好感度が高い状態でデートを終えた時に「pawa」という名前のホテルが背景で別れることが多い。相手が女子高生であってもホテルpawaへ向かう事がある。
「和桐沙耶」は和桐製作所の社長令嬢で女子高生だが父親との折り合いは悪い。仲間キャラとなる貴田をデートごっこで振り回していたりするが主人公には好感を持って接する。デートを繰り返すとホテルpawaへも行く。未来へ帰ると夜の女になる。
「蕪崎詩乃」は神社の巫女さん。彼女と本当の意味で打ち解けるには序盤に話しかけない事が必要。これは後の裏サクセスでも「ウタノが出たら話しかけない」という事がデフォルトになる。
「島岡希美」は『4』から引き続き登場するが整形手術をして痩せている。本作の野球超人伝保有者。
「菊池瞳」はスナックのママ。彼女も攻略しやすいキャラであり、表サクセスで安定して育成するための安牌という評もある。
「木岡鈴音」は敵チームのヤクザの娘。箱入り娘のお嬢様で大和撫子。彼女を遺して未来へ帰る時の「強い女だから忘れない、弱い女だから忘れられない」は名言。
ヤクザのお嬢である事を除けば普通の現代人なのだが、本人も知らないうちに巻き込まれてしまっている。
「秋本彩」は和桐製作所の事務員。眼鏡をつけているが外すと可愛らしい。
必須イベントのほぼ全てがランダムでエンディングまで持ち込むには多大な運が絡むうえにEDがバッド含めて4つある。パワポケ屈指の「ランダム女王」とも言われている。だが眼鏡を外すと可愛い。
裏サクセスの労働者は基本的には男性だらけなので攻略は存在しないが、所長の女軍人「ヘルガ」と交流を持つ事が出来るほか、リフレッシュルームの「メスヤギ・まさこ」を彼女にすることが出来る。
メスヤギはリフレッシュルームの中でも最も気力回復に使いやすく、使うと主人公がスッキリしたデレ表情で向き合う。もっともホテルpawa的なアレをメスヤギで晴らしているのだろうと推測される。
「ヘルガ」は人類の未来を憂う女軍人。労働者を見せしめに処刑するなど残酷な側面もあるが、彼女から本を借りて率直な感想を伝えることなどで内部で好感度が上がる。労働者のストレスを発散させる運動会の時にフォークダンスやキャンプファイヤーがあると思っていたなど可愛い側面もある。
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また彼女からBB団の真相を聞いたうえでとしおくんルートに入った際に、「人類と世界には神秘が失われている」というヘルガの思想を主人公がタイムパトロールだからこそ真正面から否定するイベントは熱い。
ある意味彼女イベントのラストなので、運が非常に絡むがぜひ見ておきたい。
イベントを進めるとしあわせ島壊滅後に主人公が面会にやってくる。その際、ファンタジー系の創作物で人が安易に蘇る話を嫌っている事などを話し、主人公は「彼女は最後まで軍人」である事を確信する。その後、魔女と呼ばれ処刑された模様。
悲劇的な側面も多い人物だが、後の作品でも裏サクセスとして登場。仲間想いな側面を持つことも度々あり、救われる結末も多い。
評価点
GBAパワポケの中では野球パートがほぼ完成されている。
実質アクション野球の最終作の『7』の野球バランスが残念過ぎるせいもあってか、本作を評価する声もある。それでも甘い所もあるが。
ゲームバランスとしても表サクセスは和桐製作所を立て直す試合までは易しめだが、「裏野球大会」の完全クリアとなるとシリーズ屈指の高難度という幅広いバランス。とはいえ、実力を反映させやすいため、決して理不尽な難易度ではない。
ストーリーは面白愉快な仲間達のライトなノリと、表サクセスは「借金を巡るやくざとの交渉」、裏サクセスは「ドーピング麻薬での人体実験」「現地住民と借金した人間を労働させる非合法組織」などのダークさが織り交ざってパワポケ節を形成している。
敵も「和桐製作所が作ってしまうバッテリーで戦争の激化で破滅する未来を変えようとする時間犯罪者の科学者」「プロペラ団の裏切り者のまがい物として作られオリジナルへのコンプレックスを抱えて悪意を世界にばら撒くロボット」「人類の行き詰まりに悲観して罪を背負ってでも人類を前進させようとする軍人」など深みのある人物が多い。
表サクセスの背景がウインドウ部分以外の画面全体に描かれるようになり、分かりやすくなった。
『5』では裏サクセスのみの仕様だった。
やはりBGMの評価は高く、試合曲は表も裏も高評価を受けている。
前作までの「怪しい薬」が「幸せ草」に変更された。マニアポイントが上がる以外のマイナス要素が全て排除され、使用するとほぼ確実に病気が一つ治るなどかなり改良されている。
賛否両論点
本作で初登場したパワポケポイントの存在はシリーズ通しても賛否両論。
サクセスをクリアするたびにポイントが溜まり、サクセスの開始時にポイントを利用してアイテムなどを得られる。
育成するために前準備が必要な事と強い選手を作るために選手を作る本末転倒さが非難されている。
また本作ではパワポケポイントを大量に入手するには育てた選手をパワポケポイントに変換する必要がある。これをするとアルバムやプロフィールが登録されず面倒臭い。後期のシリーズでは裏サクセスの資金稼ぎで野球人形を作るなどの救済があるのだが…。
ただし、能力が低く特定のエンディングを迎えたわけでもない使い道のない選手を消滅させて、次回以降に生かすことが出来るという側面もある。
本作では「目的を終えて未来に帰るためにコールドスリープする事を決断する」という事でパワポケポイントを作れる。一部の彼女候補がBADENDになったりアルバム登録には心を鬼にする事も大事。
この「選手を使い潰してパワポケポイントを入手」というシステムは『11』まで続いた。
表サクセスでの選手育成が歴代でも厳しい。
これは平日と休日を行き来するシステムを含めても2年目の半分でシナリオが終わってしまうため、ターン数が少ない事も原因にある。
ニコニコ動画のTAP動画(クイックセーブを使ったプレイ動画)では、オールAを目指すために商店街のドラッグストアでしあわせ草を大量に買い込んでいる。裏を返せばそういうプレイでもないと表ではオールAはまず不可能。
もっとも、簡単に強い選手を作れると無個性になるため、限られた中でどう能力を上げるかを楽しむ余地はある。
裏サクセスでは強い選手が育てやすいが「プレイルーム」でのサイコロの目押しが出来るか否かで入手できる特殊能力が大幅に変わってしまう。
試合で特定操作を行う事で3盗、本盗を確実に成功させる裏技が存在する。かなりインチキな仕様であるが、表サクセスの裏野球大会優勝はこの裏技を使い熟さないと前述の通り厳しいものである。また、この裏技は『4』、『5』、『1、2』でも可能であり、『7』で削除された。
裏サクセスは試合・イベント共に運が絡む。
試合は最後まで主人公しか操作できない。だが仲間評価を上げきれば誰もが強くなるうえ、最後の「USスーパーヒーローズ」の試合前には選択肢次第でBB団に捨て駒扱いされたと勘違いした仲間達を煽って好調に出来るので表サクセスより倒しやすい。
イベントも仲間や村民・ヘルガとの交流が起きるかどうかは完全にランダムであり、発生しても最後まで進まない可能性もある。
裏を返せばイベントを起こすためにうろつき等をしなくても済むということなのだが、終盤のメカ亀田&としおくんルート分岐が起きるかどうかもランダムなため賛否両論。
表のミニゲームがおみくじとゴキブリとウンコ。
おみくじは普通だが、他二つは読んで字の通りである。やたらリアルなゴキブリ退治の縦STGと、うんこをよけながら走るミニゲームである。
直球すぎる下品さなので、笑って受け入れられるかは個人差が大きい。
ゲームの出来自体は良い。ゴキブリSTGは弾幕系を彷彿させるショットシステムで、うんこレースはサクセス中では経験点が良く手に入る。
ゴキブリは11裏サクセスなどで更にパワーアップする。パワポケスタッフはゴキブリのリアルさも追求し続けて行った。
サクセス開始時の設定で「投球オート」が登場
名前の通り守備時の投球の手動操作が一切できなくなる。
これだけなら選ぶメリットは無いと言えるのだが、実は初期のステータスにボーナスが付く設定であり、野手の場合は守備力が+1され投手の場合はコントロールが+20されるためバカにできない内容になっている。
だが、配球が自動化されてしまうデメリットに加え試合テンポの悪化にも繋がるためハイリスクな項目になっている。
されに今作は最終決戦のUSスーパーヒーローズ戦においては外に逃げるボール球を投げ続ける&一塁走者がいた場合はウエストをし続けるのがかなり有効な戦法になっているため、なおさらデメリットが大きくなる。
この「投球オート」は『8』まで存在したが、『9』では削除された。
問題点
「正史」ではゲーム中に取り得ない状況もあり得るという矛盾の免罪符の先駆けとなった。『5』ではモグラーズが日本一になる=現小杉が覚醒して主人公(元小杉)とライバルと認め合うという事だが、本作においては大神モグラーズが日本一になったにもかかわらず、小杉は覚醒せずに落ちぶれ塚本の裏切りにより遠い所(しあわせ島)へ送られるという展開になってしまっている。
もちろんこの塚本の裏切りというのも本編中に存在せず、三年目の試合に全敗すると小杉が落ちぶれ失踪することになるのだが、ラストで塚本は「惨めすぎて騙す気にもなれない。」と言い小杉に海外での仕事を紹介する終わり方になる。
主人公の本来の目的である「時間犯罪者の逮捕」がランダム。
とある人物を彼女にしてその言動の矛盾をつく事で、その彼女キャラの周辺に居るとある人物が犯人である事が発覚。確実に逮捕する事は出来る。
だがその人物を彼女にしない場合は、1・3でプロペラ団を追っていた「大谷記者」の協力を取り付ける必要があるが、彼と出会えるかはランダム。逮捕すると多量の経験点が得られるため育成にランダムが混じる。
アイテムのいくつかは長期間持っている(特にパワポケポイントで購入した場合)とマイナスのアイテムに変化してしまうイベントが発生することがある。
例えば野球道具アイテムの場合「青野」と無理やり交換されてしまい、さらに30%の確率で「歪んだバット」などと交換されてしまう(攻略本によれば、表向き反対の効果を持つアイテムを手渡されるのこと)。ただし、このイベント後に交換の取り消しを「青野」が要求するイベントが発生することもあるが…。
もう一つは「おまもり」を所持しているとある日「おまもり」が破れ中から「呪いの人形」が出現する。というイベントがあり「呪いの人形」とともに「エラー/負け運」を取得し「おまもり」が消滅するという最悪なものである。
攻略本によればこのイベントは「おまもり」を持っている状態だと「呪いの人形」を拾うイベントの代わりに発生するという。それでも「エラー/負け運」を100%取得するというのはやり過ぎである。
ただし入院中に智林五郎が見舞いに来て切れた時、(昭雄が仲間になっていないか、ドリアンなどを見舞い品として持ってきてやる気を激減させてくるイベント2回起こした後)「呪いの人形」以外のマイナスアイテムを持っていた場合プラス装備アイテムと一つ交換してくれる。
表サクセスでは仲間評価、パワーアップ、以外に仲間を強化できるイベントがあるが、そのやり方がかなり手間のかかる仕様になっている。
空き地に複数回うろついて後に、チームメイト達と練習をするイベントが発生するようになり「打撃力」、「守備力」、「投手力」がランダムで強化される。
だが、強化が発生する確率がそれぞれ10%を切っておりかなり低くなっている。強化内容もバカにならず、特に「打撃力」の場合は「全員のパワー+5or+10、仲間評価90以上でミート+1」、「投手力」の場合「全員のスタミナとコントロール+10、カーブとフォーク+1」と強化幅が大きい。
本作は前述の通り試合難易度が高いため、これらの強化が重要になってしまっている。
パワーアップを行うとメインポジションが変化する選手が数人いる。特に、該当選手の一人の「守田」はパワーアップ前では希少な正捕手であり、主人公のポジションやゆうまの加入状況次第では正捕手がいなくなってしまう。
サクセスの試合で選手の交代ができなくなった。
『5』と異なり『4』以前のような特定の試合状況から全選手を操作する仕様にも関わらず選手の交代ができない。
しかも、代打で調子の悪い選手を出されたり、サブポジション起用をされたりとCPUの采配はお世辞にも良いとも言えない。
主人公を外野手にした場合、守田を仲間にするまで捕手起用されるような変なポジションを任される現象まで発生する。
CPU対戦でのCPUの謎の采配。
CPUと対戦すると、相手投手から点を取っただけでも一回でもCPUはすぐに投手を代える。その後の中継ぎ投手も、打たれたらすぐに代えてしまうため他の先発投手まで出てくるようになる始末である。
ちなみに、このおかしな症状は実質的な次作であるリメイクの『1・2』でも起こる。
また、プレイヤーが作ったサクセス選手のアレンジチームをCPUにして対戦すると、CPUは守備位置を試合中に変更する*1。プレイヤーからすればやり方にケチをつけられている気分である。
「俺のペナント」の天狗レベル
前作から導入された、サクセスで作った選手を一つの球団を選んでペナントレースを戦わせてさらにパワーアップさせるシステムなのだが、「期間は1年」「活躍すると上昇し、能力値などに悪影響を及ぼす天狗レベルの導入」などの大幅に変更された。
もっとも、やっかいなのが天狗レベルであり、上記のように活躍すると文字通り天狗の鼻のメーターが伸びるシステムである。
この天狗レベルは、野手なら天狗レベル分だけパワーが下がり、投手なら仲間評価分下がってしまう。
投手ならば、毎日試合に出るわけではないので低く抑えることができるが、野手で毎試合スタメンで出てる選手で、プレイヤーがそれなりに打つ技術を持っているとどう頑張っても最大値まで上がってしまう。*2
前述のように野手だと数値分だけパワーが下がってしまうため、ホームランが出にくくなってしまう。
一応、天狗レベルが高い状態で日本シリーズを制覇すると「威圧感」を取得できるが、いくらバランスを取るためとはいえそれにしてもマイナスの方が大き過ぎる。
本作から、ゲームを起動した際のメーカーロゴがセレクトボタンで飛ばせなくなった。
スタートボタンとセレクトボタン、AB同時押しで飛ばすことはできる。
総評
GBAパワポケの到達点でありながら、「タイムマシン」「しあわせ草」による専門用語の追加など転換期の一作。
それでも「なんでも野球で解決する」というノリはシリーズの中でも屈指であり、「野球してないはずなんだけど野球好きが頑張ってる」感は歴代でも高い。
結果的にパワポケシリーズで零細工場とはいえ一企業に就職した社会人が草野球をしているというシチュエーションは本作のみである。
次回作の野球パートが酷いこともあってか、GBAパワポケの最高傑作に上げる意見も多い。

余談
ほるひすはスタッフに気に入られたようで、後のシリーズのおみくじミニゲームでお役立ちアイテムとしてたびたび登場。「14」では和桐製作所に入社して巫女のバイトをしていた浅井レンがおみくじを「自社の新商品」と呼んでる事から和桐製作所で作っていたかもしれない。
ちなみに、彼は色物な見た目とは裏腹にそれなりに優秀な社員である。
『実況パワフルプロ野球2012』のおまけソーシャルゲーム『パワスタ』では、パワポケからのゲスト参戦キャラとして凡田・大神・荒井三兄弟・アルベルト・アンヌに並んでほるひすが登場。未だに愛されている模様。
そして1年後の『実況パワフルプロ野球2013』ではまさかのデッキキャラとして登場。キャラが3D化した本作で唯一2Dの平べったいグラフィックで当時の姿のまま登場するので違和感どころか狂気を感じるかも。流石に3D化できなかった為か選手としては使えずイベント限定キャラとなっている。
同一年にパワポケの新規ナンバリングが出たのは『5』『6』の2003年のみである。よって収録選手的にはいわゆる「開幕版・決定版」に近いポジションにもなっている。
本作以降はパワポケ新作の発売月は12月というのが定番となった。
本作をベースとして『1』と『2』をリメイクした『パワプロクンポケット1・2』が次回作である。
ナンバリングの『7』は次々回作である。
後の作品に与えた影響

本作に登場した和桐製作所は、しあわせ島から帰ってきた主人公によって落田を伴って復興している。その後『8』では『3』の彼女候補・寺岡薫が入社しておりワギリバッテリーを開発した事が語られ、その後にテロで死亡している。『12』の彼女候補の浅井レンは薫を尊敬しており和桐製作所に入社したが『14』では山田によって経営は上手く行っていない事が語られている。
後のシリーズでも生き残ってはいるものの、波乱の運命に巻き込まれた街工場であるといえよう。
ストーリー的に今後のパワポケに深く関わるアイテムの誕生に関わっており、賛否が分かれる。
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本作で名前だけが登場した「ワギリバッテリー」と、ドーピング麻薬として登場した「しあわせ草」である。
この2つのアイテムが今後のパワポケに深く関わり、また客観的に見ても多くの人々の人生を滅茶苦茶にした存在である事から賛否が分かれる。
特に『10』『11』では両アイテムが最悪の形で使われており、以降のシナリオを硬直化した批判する人も少なくない。
ワギリバッテリーは本作の段階では製造されていないが、『8』で和桐製作所に入社したとある人物が開発し、それが戦闘用サイボーグに転用されとある2大企業の大戦争を引き起こすきっかけとなる。
和桐社長及びワギリバッテリーの開発者である人物は、当初はおもちゃの電池として作ったつもりであり戦争の道具に転用されてしまった事に対して罪悪感を抱いている姿が後のシリーズで描かれ、結果的に不幸になってしまった事を示唆している。それもある種のパワポケらしい「毒」なのかもしれないが。
本作の主人公は和桐製作所で数年後にワギリバッテリーが作られる事を把握しており、とある彼女ルートで時空犯罪者を追い詰めるためにも「バッテリー」の存在が関わってくる。
なお大谷記者と協力して捕まえるルートでは犯人はシルエットのみで襲いかかってくるため正体はわからない。だがこの時に残す「お前は間違っている」「あんな未来認めるものか」という彼の捨て台詞は主人公が本来の歴史と信じる「バッテリーが開発される未来」がすでに改変された歴史であることを示唆しており、後のシリーズで共感できるモノとして伏線回収される事となる。
また正史ではこの犯人は捕まっていない。だがワギリバッテリーの開発と流通は成し遂げられてしまい、犯人もまた目的を見失ったまま未来にも帰れず世界の混乱を見つめていることが『11』『13』で判明する。
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